2007年 月のハナ

机に向かうと、右目の端では、いつも欅の枝葉が揺れている。
部屋は南向きだから、西側に大きく梢が広がっている。
秋のある日、夕暮れ前の光に透けて葉がきらきらきらきらしているのを見ていたとき、なにかが腑に落ちた。
感謝のお祭りのにぎわいもお仕舞いの、植物も人も動物もそろそろ冬じたくを始めようと言う季節。
冬がくる前に、光がやってくる空や、夜空に浮かぶ月へ思いを馳せて、花を生けてみたいと思った。

花を立てなければ確かめられない。
僕は一つ一つ、毎日、屋上にある温室で花を活けた。新月から満月まで。耳を澄まし、目を閉じ、手で触れながら。
それは大地に立つ、どこまでも儚くどこまでも強靭で、どこまでもめまぐるしくおごそかな静けさのものたちとの、遥か太古から未来への「約束」を確かめるようなことだった。

憧れがとどくかとどかないか、そのキワになにか少し見え隠れするものがある。
いつかどこかで出会っていてまたいつかどこかで出会えるだろうこと、またいつでも出会っていること。

月も花もゆっくりと、満ちては
こぼれていく。