さよなら温室 「月(げつ)」から二年半

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【写真は全てイデー時代からの花のお客さんでもある野口貴也さん。】

温室が解体されて、随分経ってしまいました。
よくこの場所で月を眺めていたのを思い出しています。月へむかえるようになったのは、この
場所があったからなんだと、つくづく思います。


東北大震災の翌年、ビルの屋上にあった「温室」は老朽化ということで解体されました。
オーナーさんのご好意と管理会社の理解によって、5年ほどお借りすることが出来ました。
様々な企画をし、勉強することばかりでした。
ラストをしっかりと見送って、またどこかで再生を誓うのに、安田登さんのお力添えをいた
だきたいと、僕たちは願い、それが実現したのが「月(げつ)」。月に肖り、欠損を惜しん
で、生まれ変わる日を夢見る、そんな意味を込めました。

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さようなら温室
 月(げつ)

 
 屋上の「温室」は、2012年の4月末をもって閉じることになりました。
 樹木に囲まれた屋上に立つ、たったひとつの場所。
 この場所でいただいたご縁に感謝し、お別れの会をいたします。

 能楽師の安田登氏が、夏目漱石の「夢十夜」のうち、二つの夜を舞って下さいます。
 私たちは安田さんの身ぶりと言葉に、いつも身震いしてきました。
 温室の魂鎮めと魂振りをお願いしたいと思った由縁です。 
 皆様にお立ち会いいただけましたら幸いです。
 
出演:安田登(能楽師:ワキ方)
   槻宅聡(能楽師:笛方)
   高須賀千江子(ダンサー)
花: 塚田有一(温室)
企画:㈲温室

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「立花供養」のあと、
『夢十夜』の第一夜と第三夜の朗唱。声は呼ぶ。透けた小屋は、響きとともに夜空に浮いて
行くようだった。
槻宅さんの笛は、異風を運び、境界を破る。
高須賀さんの肢体は伸びやかに、翅が生えているようだった。
唄の響きの中で、見守ってくれる人々とともに、
街灯りを映す鏡の箱の中に天使たちが降りて来てくれたのが見えた。


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仕事として花を活ける時には、お客様の文脈を大事にし、花の旬を考え、色や質感、情景をいろいろイメージしてみます。でも、花は生ものですから、注文通りの仕入れがかなわない場合もありますし、現場でやってみて、イメージ通り行かない場合もあります。一本一本皆違うので、予定はあるようでないようなものです。
そうした時、限られた時間でどうするのか。その場に臨んで発揮できる力を持っていたいと思っています。場所と素材に出会い、相互共振し、想像をいつも超えていくことが、花生けの醍醐味であり奥が深いところです。
花は遥か昔から「こころの形代」です。型や方法や技術を用いて、物語を伝えてゆくのが仕事です。作庭のダイナミズムと、一輪の投入れのダイナミズムは通じています。