学校園、又の名を『月光園』 十日夜の月へ捧ぐ〜月へはなすことば〜

2014年11月1日、学校園の巡り庭ワークショップは「月へ はなす ことば」
というテーマ。
http://setagaya-school.net/Event/11373/

テキストには尾崎放哉の月の句を集めた。今コラボしている山縣良和君が尾崎放哉の句とか生き様とか生きた土地から刺激を受けて衣服を作り、コレクションを構成しているし、能楽師の安田登さんは、中学校時代に放哉にのめりこんだそうだ。月の句も好い物が沢山。漂泊者や旅人にとって、月はよい友なのだろう。
それと、毎年僕がこの季節になるとビルの屋上にある温室で、月に向かって非公開でやっていた花活けのことをお話しして、みなさんにも世田谷ものづくり学校の庭で花を摘んで、自分自身の「月めぐりの花」を活けてもらう。
月へ向かってみると、分かることが沢山ある。

十日夜の話し、様々な月の話しを聞いてもらった後、小雨降る庭へ。
晦から朔、三日月、半月、十日夜、十三夜、そして望(満月)。この7つの月へ捧げる花を、それぞれが庭で考えながら採ってくる。
月相や、月の形の意味、月の色やかたちから類推出来ること、そして放哉の句などを手がかりに。

それらを、配置された「新月の花器」、「晦の花器」、「十三夜の花器」のところへ順番に活けて行く。花器はガラスの円筒状で、みな同じ。

…例えば十日夜(とおかんや)の花器へ活けた花は
 サトイモの葉。
 イノコヅチ。亥は山の神様の使い。
 西洋ザイフリボクの照葉
 ムラサキゴテン
 紫蘇の立ち枯れ
 ケールの虫食い
 淡い黄色の花のような葉
 など
それぞれが十日目のお米のようにふっくらとした月へ供えるために選んで来た花が
このように合わさる。何やら今回の参加者はかなり上級な空間感覚、物語り感覚を持っていた。

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十日夜のめぐり花👆

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晦日のめぐり花👆
月が隠れて、暗闇に。
僕は椎茸のほだ木の朽ちた物を拾って来て置いた。時計草が絡み、風景ができる。蒼(ブルー)と言う色で晦を感じた人もいる。ショウガの葉は折られた。白妙菊の銀が幽かに光り不在の在を感じさせる。

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朔のめぐり花👆
肉眼では見えないが、再び光が兆す。
アロエの切っ先。ラベンダーの香りが立つ事。ニラの花の種、もう弾けて透き通っている。
それから風船唐綿がやわらかく垂らされ、未だ緑の莟をたくさんつけたアカシアの枝とか。

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三日月のめぐり花👆
この月が見えると、ひと月が始まる。中東の国旗は三日月が多い。
藍の花、セイタカアワダチソウ、犬蓼など、弧を描く草姿を三日月に見立てた人が多かった。
僕は葡萄の蔓を。パルメット。原産が中東なので。この葡萄は4㍍ほどもある校庭のフェンスを覆っている。シルクロードの果て、遥かな土地を想像する。

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三日月のめぐり花その2👆
藍の花、セイタカアワダチソウ、犬蓼
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半月のめぐり花👆
もう半分の「片割れ」が気になる半月。裏と表。最初の人は芙蓉の実を正面に活けた。
ランタナの青い実。ランタナの名はランタンとも関係ありそうだ。
僕は細長いガラス花器の水に桑の葉の黄葉(もみじ)の茶色と黄色の一対を数枚、
木賊は束で、半分に折った。
椿の艶のある葉枝、アカシアの莟に茶色の雄の山芋が絡まっている。
艶と枯、盈虚、おすとめす。生と死が半月から見える。

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十三夜のめぐり花👆
十三夜は少し欠けた月。
黄色に光るキク科のデージーが利いている。黄色のグラデーションは
輝きを増し、満月を待つ僕たちの想いのようだと思う。種を放つばかりの
「引っ付き虫」も星のようで映える。

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満月のめぐり花👆

満月は芒を初め、白妙菊などがたっぷり活けられる。槻や南天の紅葉、
大きい黄色い実は花梨。屁糞葛の実もいぶされた金。きれいなもの。みっちり活ける。
ここからいろいろと手放しながら月も欠けて行く。

今日は旧暦で重陽の節供だった。白妙菊も、ユリオプスデージー、ブルーデージー、セイタカアワダチソウも蓬も菊の仲間。




ワークショップは、植物に触れ、植物に人が託して来た物語を知り、身体知を取り戻すことと、風土を感じることを大事にしています。