立春満月 梅花の緑陰幻想詩華集(アンソロジー)

立春の満月。
今年初の「緑陰幻想詩華集(アンソロジー)」のお題は《梅》にしました。

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原産とされている中国では梅は松竹と並んで「歳寒三友」とされ、
松竹とともに霜雪に耐え、凛としたその姿は清らかさの象徴とされています。
また、「双清」といえば「梅と水仙」であるとか、「暗香浮動」といえば姿が見えなくても香りで存在が分かる梅に例えて、立派な君子は殊更に言あげしなくてもその存在が知れるということを表します。

万葉集では白梅が多く詠まれ、平安以降は紅梅が多く詠まれました。ですから白梅の方がはやくから国内に入ってきたのではないかと言われています。菅原道真の「飛び梅」の伝説も生まれ、更に中世、近世と梅に対する美意識は時代を反映しうつろっています。
翻って今、この梅を僕たちはどうみているのでしょう?

アンソロジスト東雅夫さんは『羅浮仙』の故事から、浅井了意「早梅花妖精」で梅花の下の夢の残香を、吉屋信子「夏蔦」で梅林幻想を、それぞれ辿ったあと泉鏡花の「薄紅梅」へ。
「羅浮仙」を題材にした画も沢山描かれています。「樹下美人図」の流れもあったのではないかと思います。

花活けは「薄紅梅」の朗読の中、豊後梅と雪柳を立て、そこに薄桃色で底に藍が滲んだチューリップ、一重のラナンキュラス、水仙、それにつま紅のようにほのかな桃色がさしてある小菊や藍の絞り染めのような紫陽花を使いました。泉鏡花は「鴇色」とか「薄桃色」「薄紅色」をちらりちらりと挿入し、着物や帯の柄など色や香りを差し込むのが本当に上手なので、肖りたいと思いました。

器はリトアニアの作家のもので、黒地に白いドット模様を雪と見立てました。

空に満月、雪の見立ての花器、そして花で
「雪月花」としました。
「雪月花」は綺麗なものであると同時に、儚さでもあり、裏にはいつも死を孕んでいます。
満開の花も、雪景色も、宇宙に浮かぶ満月も、
「もの狂い」の象徴でもあります。


物語りと言う虚構と、花活けという虚構を並べてみることで、
掬い取れるものがあるのではないかと思っています。


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仕事として花を活ける時には、お客様の文脈を大事にし、花の旬を考え、色や質感、情景をいろいろイメージしてみます。でも、花は生ものですから、注文通りの仕入れがかなわない場合もありますし、現場でやってみて、イメージ通り行かない場合もあります。一本一本皆違うので、予定はあるようでないようなものです。
そうした時、限られた時間でどうするのか。その場に臨んで発揮できる力を持っていたいと思っています。場所と素材に出会い、相互共振し、想像をいつも超えていくことが、花生けの醍醐味であり奥が深いところです。
花は遥か昔から「こころの形代」です。型や方法や技術を用いて、物語を伝えてゆくのが仕事です。作庭のダイナミズムと、一輪の投入れのダイナミズムは通じています。