大地の芸術祭 奴奈川キャンパス 能楽師安田登さんとの「めぐり花」 

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3、4年前、松代(まつだい)を最初に訪れたのは、友人であるギフトさんが「山の家」というカフェ&ドミトリーを始めて、現地で「めぐり花」をやらないかというお誘いがあったからだった。季節は10月終わり頃。キノコ狩りをしたり収穫が終わったあとの棚田で月を見たり、山の窪みや襞にそった集落は水の豊かな土地だ。紅葉が進んで枯れ色と綯い交ぜの、冬へ向う彩りの深度が印象的だった。豪雪地帯で、春と夏がいっぺんにやってくる。雪下ろしの邪魔になるので家々を囲む塀はない。生け垣も殆ど見られない。灌木や草花の庭が道との境界だ。短い夏から雪の降るまで、大事に育てられた草花は瑞々しく輝く。今回「めぐり花」のために訪れたのはその場所から更に山に分け入ったところ。「奴奈川」の地名は「ヌナガワヒメ」に由来する。織物で栄えた集落だったのだろう。里山の縁ではどこまでが庭なのかもうわからない。花をいただくために歩いた集落。ことのほか花々が野の草花とせめぎあいながらも生き生きしているお宅に出会った。持ち主の方にお願いし、こころよく応じてくださったので、今回の花はここからいただいた。
これらの花と、道すがらの崖や、学校の周囲の草花を摘んで「めぐり花」する。

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竹を切らせていただいた。
山間の集落の、ご自宅脇の竹を長年手を入れながら維持なさっている。
僕は緑の太めの竹をイメージしていた。豪雪地帯であまり太い竹は無いのは知っていたけど、
若いものは細く、そこそこ太いものは雪焼けとか寒さでか、飛んでいた。しかも雪の重さで曲がっている。
戸惑いがあったのは事実であったが、おじいさんは「これとあれと、、、」と言うと切ってくださる。みるうちにそれらの竹は表情が本当にいい。それぞれの曲がりが本当にいい。今思い出すと懐かしいくらいだ。
いつの間にか僕は都会の竹屋さんに並ぶ竹を使い慣れ、建築材料の規格品にちかいかたちでみてしまっていたのだろうか?
それでもこの竹で行こうと腹をくくったら、余す所無く使うことができた。
これで、みなさんに「めぐり花」してもらうための、また、安田さんが舞っていただくためのベースができる。
年月を経た尺八のように、古さびて懐かしい響きが聴こえてくる。
竹一本とっても、その土地の「らしさ」が顕われる。
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吊った竹は能舞台で言う「橋懸かり」。横に組んだ竹は水が張られ、松山鏡に因んだ「池」を模している。花野が池を囲むイメージだ。