帰る庭ー旅の多い小説家の山の家ー

信州の別荘地に佇む小説家の庭。
初めてこの地に立ったのは、冬至の頃。
まだ雪はなく、立ち並ぶ赤松と唐松、そして広がる笹原、点在する岩、敷地より外に延びる湿地というすっきりした地形。木立を縫って冬の光が差し込んでいました。
建築家、インテリアデザイナー、ガーデンデザイナーみんなが集まって合宿しながら、
新しい家について意見を交し合いました。


緩やかな北斜面に立つ家の基礎を作るのに出た土はできるだけ持ち出さず、
家の前に平らな面を作って、地形の変化を出すために盛りました。
石は、地元の庭師さんが持っていた界隈の石と浅間の溶岩。
そこに在ったかのように布置できればと配しました。
庭に面した三つの異なる用途の部屋から、それぞれ見える風景が特徴的になるように、ランドスケープは全体的に右下へと緩やかに下りつつも、留めはねや、迂回や、段差などの強弱をつけます。
一番低いところにもともとあった泉に対して、東側にはワイヤープレイスがあります。
泉の方へ緩やかに下る地形と、ファイヤープレイス側は急な斜面で石組みをし、雰囲気を変えています。

道行きを大切にした庭。
移動すれば、その時々で景色は無限に変化します。

2017年お盆明け。鹿よけのネットを張って、追加の植栽、お手入れをしました。
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庭をめぐる外周路もあります。
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敷地外周をぐるっと回ることができます。その道と、庭の中の路地のような径が交錯します。
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唐松の落ち葉が敷かれた「匂いのする径」。見え隠れする家

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泉へ向かう木道。

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北側にはもともと泉があります

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ファイヤープレイスから見た家。

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鹿よけにとうとうネットを張りました。
オーナーが好きなアジサイの仲間が数種類この中に群生しています。

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短い秋は燃えるように染まります。




小さい頃から雑木林の中を走りまわっていました。その時の様々な感覚が、庭をつくる際の「根っこ」になっています。庭は、切り取られた自然だとしても、そこに生命が育まれ,生態系が生まれます。一瞬一瞬の美しさを感じ、その場所に佇んでいると、きっと何かが見つかると思います。

(有)温室では、主に個人邸を中心に、多くのお客様の庭作りとその後の管理を通して、自然が身近にあることで分かち合えるものを大事にしながらデザイン及び管理をしています。