「地形が隆起し、新たな地形の隙間に 住いが現れる」平田晃久さんの”Overlap House”の庭

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「ごちゃごちゃ系建築を、初めて実現した」とは藤森照信さんの評。

入り組んだ街路や公園や、隣の銭湯や、ガレージの車や、電線や
お隣の屋根や植物までもが、意図を超えて互いにさんざめいている。
街を建築が、建築が擬似自然である庭を、庭が街を、住戸が庭を、オーバーラップしていく。

道路は庭へ突然入り、
住人は庭を通り抜けて、木々に隠れたり顕れたりしながら、
いつの間にか空間紛れて部屋へと消えていく。

庭という緑の波が、被ってくるように。
うねって、飛沫が道路や階下に飛ぶように。
かつそれぞれの住戸が独立した豊かな緑に囲われているように。

山に見立てた。
山頂の明るい風の庭。
途中の林道の庭。樹間から空が見え、雨も落ちる。
一階は林床の庭。
道行けば、風景が移ろい、
途次で階下や階上のお住いの庭を見ることになる。
そしてそれも借景となって、
自分の庭の一部。
切り取られた都市の風景さえも。

場所によって、植物は大いに変えた。
外装もモザイクでマダラ。
葉の色、花の色、実の色も合わせてまだら。
場所ごとの気候もまだら。屋根の下、日照具合、寒暖、風の通り具合、あるきづたい、、、
よって、植物もまだら。濃淡、粗密、リズム、調べ、、、

それは都市の中の住宅街というものの別のかたち。
東京の建築と庭の新たなかたち。

建築という道行。

地形が隆起し、新たな地形の隙間に
住いが現れる。
新たな風土。
新たな地形に雨が降り、種が運ばれ、
庭が育っていく。

ガーデンは、「ガード」と語源を一緒にするが、
そもそも住いは自然の地形に依っていた。
洞窟、岩のくぼみ、守られてようやく人は安心して眠ることができる。

路地を抜けて、露地をくぐって、
外の気配を感じる茶室のような
一つ一つの住い。

変化に富んだ懐のある、小さな山のような建築。
雨水も屋根に降ったものが順に巡ってくる仕組みが試みられている。
雨を共有し、散水も気になってお隣にもしてしまうという。
アパートではなく長屋。
大家さんもすぐそばにお住まい。
単純な積層マンションでは難しい住み手同士の
庭越しの、また通りしなのコミュニケーションも
生まれるだろう。

新建築online 平田晃久さんインタビュー;
http://www.japan-architect.co.jp/jp/




小さい頃から雑木林の中を走りまわっていました。その時の様々な感覚が、庭をつくる際の「根っこ」になっています。庭は、切り取られた自然だとしても、そこに生命が育まれ,生態系が生まれます。一瞬一瞬の美しさを感じ、その場所に佇んでいると、きっと何かが見つかると思います。

(有)温室では、主に個人邸を中心に、多くのお客様の庭作りとその後の管理を通して、自然が身近にあることで分かち合えるものを大事にしながらデザイン及び管理をしています。